これ なーんだ? 3年美術
2024年5月16日 15時39分なにやらカラフルなものたちが・・・
カラフルな金平糖ではありません
「大星形12面体」というものに
白黒あわせて20色で着彩し
20個の頂点を ひもで結んだものでした
実は今の3年生が 2年生の3学期末に取り組んでいたのですが
時間が足りなくて 3年生の1学期に続きを・・
先月 やっと 全員が完成したので その報告です
複雑に見えますが 材料は至ってシンプル
適度な厚みのケント紙に印刷された物 たった一枚です
材料は少ないですが やることは多い
すべての折り目に 目打ちで折り目をつけて
カッターで慎重に切っていきます
1年生の時からカッターを使っているので 安心して見ていられます
細かい部品なので 長い定規より 三角定規が便利です
2つのパーツを切り分けたら
折り目に三角定規を当てて しっかり折り目を付けます
山折り 谷折り を間違えないこと
紙の端までしっかり折り目を付けることが
仕上がりを左右します
折り目を付けたら 長い方の糊しろを接着して
三角錐を作っていきます
大星形12面体は2 0面体の面それぞれに三角錐がついた形なので
三角錐を20個完成させておきます
( この三角形は 長辺と短辺の比が 黄金比 1:1.618 )
20個の三角錐ができたら
それぞれが5つで星形に見えるように
短い方の糊しろを接着していきます
糊しろは 接着する相手の内側に貼り込んで 見えなくします
角度を変えながら どれとどれを組み合わせるのか
確認しながら組み立てなければ完成しません
じつは今回は 説明のプリントを用意していません
口頭と黒板で 簡単に説明しただけです
複雑すぎてプリントにまとめられなかったのが実情ですが
頭の体操的に取り組んでもらいたかった
この授業の後は 脳が活性化されて
後の授業がずいぶん理解しやすかった はず(?)
最後の糊しろ3つは 外側に貼らざるを得ない ところですが
最後まで糊しろを内側に貼って 完成品には糊しろの部分が一切見えない という
高度な仕上げをする猛者が クラスに一人か二人はいるものです
これで完成と思うなかれ
ここからがたいへん
私の美術はメンドクサイのです
第二段階
20個の頂点に付ける金具を自作します
15ミリほどの ほっそ ー ー い 銅線を
爪楊枝に巻き付けて ねじって
頭が輪っかになった金具を20個 作ります
金具ができたら 多面体の角(つの)の先っぽ それぞれに
小さい穴を開けて 差し込んで 接着剤で固定します
相撲部の大きな手で 細かい仕事を 頑張っております
第三段階
星形12面体の 20個の角を着彩します
狙いは立体の色相環(色立体)を作ることです
自由に着彩する という選択肢もあるのですが
色彩が規則に則って並んだ時の美しさ を今回は実感してもらいたい
多面体を置いたときに水平になる10個の角を
色相環の表と見比べながら 塗っていきます
12色相環を10色相に分けるので
表にない色を考えながら 色を作らなければならない という
実は非常に難しい工程です
赤、黄 は 2種類のチューブがあるので
選択を間違えると色味が変わってしまう
チューブの表記を慎重に確認しております
基本の10色(純色)が塗れたら
片方は白を頂点とする明るい色(明清色)
片方は黒を頂点とする暗い色(暗清色)に塗り分けます
どのくらい白(黒)を加えるのか
白を上 黒を下 にして
高いほど 明るい(明度が高い)
低いほど 暗い(明度が低い)ので
先に塗った色との明るさと比べながら 色をつくるという
これまたムツカシイことをやっております
金具を付ける工程は着彩が終わってからでもかまいません
最後の仕上げ(第四段階)
20個の頂点を ゴムひもで結んでいきます
百均の 手芸用のゴムひも がちょうどよかったです
普通の糸だと 少しでもたるむと ダサくなってしまいますが
ゴム紐は ピンと仕上がってくれるので 完成度が違います
最初に一カ所 ゴムひもを縛り付けて スタート
できるだけ同じところを通らないように 通していくのですが
どうしても2回通るところが出てきます
20面体の辺を一筆書きするのは 数学的に無理なのでしょうか
今度数学の先生に聞いてみよう
(高校は専門家が多いので こういうとき助かります)
頂点をゴム紐で結んで
正確な 5角形が 12個できていれば
組み立てが正確にできていたということにもなります
この大星形12面体に色を付けた色立体ですが
それぞれ反対側の角の色どうしは補色の関係になります
補色というのは言わば真反対の性格の色どうしで
並べると一番目立つ配色です
上の写真では 一番上の青紫(写真では青に見える)と 黄色 の関係
また 平らなところに置いたとき 星形が見えるようにして
星の頭の部分に対して 2本の足の部分は
それぞれが黄金比の角度に近くなります
上の写真では実物と色が違ってしまっていますが
例えば一番上の青紫に対して
足の色(黄緑とオレンジ)の3色が黄金比関係になり
この組み合わせは割と収まりがよいようで
有名なエ●ァ初号機の配色が この配色に近いと思います
私も 配色を決めるとき この色立体に助けてもらってます
12面体の頂点から反対側に3本結ぶと
今回の大星形12面体ができて
その中に20面体があって・・・ など
正多面体を数学的にもっと突き詰めると もっと面白いのでしょうが
美術の授業としては このくらいが限度でしょうか
いろいろ面倒くさい教材でしたが
今回も 野村の生徒諸君は 熱心に取り組んでくれました
この教材(完) 芸術(美術)