校長室より

 

入学式式辞

 はじめに、新型コロナウイルス感染症の全国的な拡大を受け、入学式がこのような対応になりましたこと、新入生並びに保護者の皆様をはじめ、関係の方々に御理解と御協力をお願い申し上げます。そのような中、本日、愛媛県立野村高等学校の入学式が挙行できますことは、新入生をはじめ教職員並びに在校生一同の大きな喜びであります。また、御来賓の皆様、保護者の皆様には御臨席を賜り、厚く御礼申し上げます。

 ただ今、入学を許可いたしました57名の新入生の皆さん、入学おめでとうございます。そして、皆さんを今日まで立派に育てられた保護者の皆様に、心からお慶びを申し上げます。

 本日より、本校の生徒として勉強することになりました。これからの変化の激しい社会を生き抜いていくためには、自ら学ぶ意欲と主体的な学習の仕方を身に付けるとともに、豊かな人間性と逞しい体力を養うことが求められます。

 本校の今年度の教育目標は、「新しい時代をたくましく生き抜く人材の育成―夢をつくる 心をつくる 未来をつくる」です。皆さんが、新しいことや難しいことに果敢にチャレンジすることを恐れずに、自分自身の主体性をしっかりと身に付けてほしいと思います。

 そのために、高校時代に次の三つのCを実行してください。

 まず、Chellengeです。これは、高校生活への挑戦です。ただ、言われるままに、何とはなしに学校に来て、何とはなしに学習をするのではなく、高校生として勉強に部活動に積極的にチャレンジしてください。高校の学習で期待するものは、ただ教えられるままの知識や技能ではなく、私たちが生活し、仕事をし、逞しく生きるために必要とする生きた学力です。是非、それを身に付けてほしいと思います。

 二つめは、Considerです。これは、よく考えることを意味します。自分で考え、判断して、行動してほしいということです。よく考えることは、他人を思いやることに通じます。人間が人間として生きていくためには、あたたかな人間関係がますます重要です。これは、立派な社会人としての基本的な条件です。「考えて、判断し、行動する」そのような訓練を、是非、つんでほしいと思います。

 三つめは、 Controlです。自分をコントロールできる能力を養ってほしいと言うことです。理性と言う言葉に置き換えることもできます。一人一人が耐性を育むことです。待つ、耐える、我慢するということは高等な精神活動です。まだ、耐性が発達していない赤ちゃんは、お腹が空けばすぐに泣き、思うようにいかなければ駄々をこねます。人間が社会生活を円滑に行うためには、自分をコントロールすることが大切です。 

 皆さんには、これから本校で、これらのことを学びながら、自己の可能性を高め、地域を支える人材に成長していってほしいと願っています。どうか、これら三つのCを心にとどめ、充実した高校生活を送ってください。新入生の皆さんが今日の喜びを忘れず、心身ともに健康で、有意義な高校生活を送ることを心から願って式辞といたします。


1学期始業式式辞

 本日より、令和2年度が始まりました。皆さんは、少しばかりの緊張感と大きな期待に胸を膨らませて、登校してきたのではないかと思います。

さて、新型コロナ・ウイルス感染者の増大を受けて、その防止の取り組みが一層強化されています。一人一人が、自己管理、健康管理に全力をあげ、「野村」という学校組織のメンバーであることを肝に銘じて、くれぐれも慎重に行動するように強く願っています。

 昨年度末は、終業式も行われず、少し長い春休みでした。それぞれの担当の先生から「課題」等が出されていたと思います。その課題を着実にこなすことはもとより、このような期間を前向きにとらえ、日頃、集中的に取り組めないような読書など、自分の興味があることや好きな課題を自ら見つけて、豊かな時間が送れたでしょうか。このような期間を、他者から命じられなければ何もせずに、目的意識なく過ごしていくのか、それとも社会から偶然投げられた時間を、自分にとって貴重な時間にできるのか、皆さん一人一人の姿勢が問われていると思います。後者のように自ら主体的に考え、課題を設定し、挑戦する姿勢が大切であると思います。

 主体的に行動し、自分が達成困難な大きな課題に失敗をおそれず果敢にチャレンジすると自分自身を成長させることができます。また挑戦をすることで、自分の隠れた才能を引き出すことができます。挑戦をしている人は、失敗が多くなります。しかし何度失敗を繰り返しても、最終的に大きな目標を達成することができれば、失敗は無駄になりません。挑戦をすることで課題を克服するために努力し、技術力を上げ、精神力を向上させることができます。

 本校の努力目標は、昨年に引き続き「新しい時代をたくましく生き抜く人材の育成~夢をつくる 心をつくる 未来をつくる~」です。皆さんが、新しい時代を力強く歩み、新しいことや難しいことに果敢にチャレンジすることを恐れずに、そこで出会った積極的失敗を糧にして、自分自身の主体性をしっかりと身に付けていただくことをお願いいたします。そして最後にもう一つ、今年度も引き続き、日本一気持ちの良いあいさつのできる学校、そして日本一端正な身だしなみ、日本一積極的に清掃活動ができる学校を目指そうということをお願いして式辞といたします。


2019年度

 

卒業証書授与式 校長式辞

 野村の山々に立ちこめる美しい朝霧の切れ間にも春の気配が感じられる今日のよき日に愛媛県知事代理 南予教育事務所 教職員課長 萩森英俊様、西予市長 管家一夫様をはじめ、ご来賓の皆様のご臨席を賜り、大変な状況の中ではありますが、こうして令和元年度愛媛県立野村高等学校卒業証書授与式を挙行できますことを、卒業生はもとより、教職員一同、心から御礼申し上げます。

 また、卒業を心待ちにされていた保護者の皆様におかれましては、この3年間でたくましく成長されたお子様の姿をご覧になり、感激もひとしおと拝察いたします。心よりお慶び申し上げます。そして本当にありがとうございました。

 さて、今日の門出を迎えた66名の皆さん、卒業おめでとう。君たちの晴れの門出に、心からの拍手を送り、お祝いを申し上げます。

 3年前、皆さんが入学したときに私も野村高校に着任いたしました。だから、皆さんの3年間の歩みは私の3年間の歩みと同じです。入学式で私は皆さんに、着工から130年以上経った今も建設中のスペイン・バルセロナのサグラダファミリア聖堂を取り上げ、どんなに小さくてもいいからこの3年間でそれぞれ自分のサグラダファミリアを積み上げて欲しいというお話をいたしました。振り返ってみて、どうだったでしょうか。

 昨年の夏、野村は未曾有の豪雨災害に見舞われました。豪雨はかけがえのない命を奪い、多くの人たちの生活を奪いました。全く予想もしなかった出来事の中で、皆さんは、被災した友だちを思い、地域を思い、自分たちにできる精一杯のことをしてくれました。そして、地域を少しでも元気したいとの思いを持って、学業に、部活動に、学校行事に目覚ましい活躍をしてくれました。あまりにも悲しい出来事ではありましたが、そんな経験をした皆さんの心の中のサグラダファミリアには、大きなパーツが積み上がったはずです。

 さて、いよいよ東京オリンピック・パラリンピックが迫ってきました。東京という夢の舞台に向かって輝いているアスリートたちの姿が連日のように報道されています。しかし、同じようにひたすら東京オリンピックを目指し、必死の努力を重ね、金メダルに最も近づいたはずの競泳の池江璃花子選手が東京オリンピックに出場することはありません。突然に襲った病魔が彼女の夢を砕いたとき、彼女は何を思ったでしょうか。

 皆さんは、今日からそれぞれ、新しい第一歩を踏み出すわけですが、これからの人生の中では、楽しいことやうれしいことばかりではありません。いくら頑張ってもうまくいかないこともあると思います。野村を襲った豪雨災害のように、池江選手を病魔が襲ったように、これ以上ないような逆境に立たされることもあると思います。しかし、どんな状況でも歯をくいしばり、前に向かって歩み続けてください。

 野村の町では、地域の方々が悲しみを乗り越え、復興に向けての歩みを進めています。池江選手は、今、病気と闘いながら、2024年のパリオリンピックを目指して、再びトレーニングを開始したそうです。

 最後に、もう一つだけ皆さんに伝えたいことがあります。

 皆さんが今日の日を迎えることができた背景には、常に皆さんを温かく見守り育ててくださった保護者の方々、そしていつも野村高校を応援してくださる地域の方々、同窓生の方々に支えられてきたことを忘れてはなりません。野村高校は、地域や同窓生の熱い思いに支えられたすばらしい学校です。野村高校を卒業したことに自信と誇りを持って堂々と生きてください。そして心が折れそうなときは、自分には、「野村」という強い絆で結ばれた多くの仲間がいることを思い出してください。 

 名残はつきませんが、皆さんが輝かしい未来に向かって、歩まれることを祈念いたしまして、式辞といたします。


3学期始業式式辞                          

 皆さん、おはようございます。冬休みもあっという間に終わり、今日からいよいよ3学期です。

 まずは皆さんが事故もなく、元気で新年を迎えられたことを大変うれしく思います。

 さて、皆さんは正月をどのように過ごしたでしょうか。これから受験を控えている3年生、特にセンター試験を受ける皆さんは、正月返上で最後の追い込みをかけたのではないかと思います。センター試験まであと少しです。焦らず体調を整えて試験に臨んでください。健闘を祈ります。

  さて、この正月、テレビで箱根駅伝を見ました。関東学生連合チームを含む21校の学生たちが死力を尽くして襷をつなぐ姿に今年も大きな感動と勇気をもらいました。多くの人たちが箱根駅伝に感動を覚えるのは、選手たちがこの日のために365日、生活の全てをかけ、来る日も来る日も人知れず努力を重ねてきたことが想像できるからだと思います。そして、もう一つ、私が感動するのは、選手に給水のドリンクを渡すチームメイト、ゴールした選手にタオルをかけるチームメイト、走る選手に力一杯の声援を送るチームメイトの姿です。彼らは同じように努力を重ねてきたけれど、箱根路を走ることができなかった控えの選手たちです。

  新聞に箱根駅伝のスポンサーの会社が出した次のような応援メッセージを見つけました。

 

走りたかった4年生たちへ

 

いっしょに成長してきた仲間たちだから、応援したい気持ちもあるだろう。

いっしょに成長してきた仲間たちだからこそ、応援しきれない気持ちもあるだろう。

誰かに励まされることで、もう一度悔しい思いをしたかもしれない。

母校のたすきがいちばん遠くに感じたかもしれない

それでも。

それでも、チームを応援することを選んだ彼らを応援したい。

そこにはタイムには表れない強さがあるから。

悔しさを振り払って、今日までたどり着いたと思うから。

だから、どうかいっしょに応援してほしいのです。

コースの外にいる、4年間を駆け抜けたランナーたちを。

区間を走る10人と、ともにたすきをつなぐランナーたちを。

すべてのランナーたちの思いが、どうか完走しますように。 

 

 箱根駅伝の中継の間には、競争に敗れ、走ることを断念した青年が、挫折を乗り越え、新たな夢に向かって再び走り出すCMが何度も流されていました。

 いよいよ新しい年が始まりました。ここにいる全ての皆さんが、自分の夢を見つけ、その夢に向かって走り続けてくれることを願って式辞といたします。


2学期終業式式辞

 令和最初の年もあと10日ほどとなり、今日で2学期が終了します。

 2学期には、体育祭や高校祭をはじめ修学旅行や北海道ファームスティなど多くの学校行事がありましたが、皆さんは本当に一生懸命取り組んでくれました。

 また、私はいつも皆さんに「日本一あいさつのできる学校」を目指そうということをお願いしていますが、皆さんは、私の呼びかけに本当によく応えてくれました。地域の方々や本校に来校された外部の人たちから、野村高校生のあいさつは素晴らしいというお褒めの言葉を何度もいただきました。それから、私がいつも感激するのは、トイレのスリッパが揃っていることです。気持ちのよいあいさつができることやきちんとスリッパを揃えることは、私たちが成長していくための絶対的な土台だと思います。引き続き、みんなであいさつ日本一の学校を目指していきましょう。

 さて、2学期の終業式に当たり、「時間をかけて向き合う」ということについてお話をしたいと思います。

個人的な話ですが、私は、高校・大学時代、合唱の世界にのめり込みました。様々な合唱曲と接してきましたが、印象的だった曲の一つに草野心平という有名な詩人の詩に多田武彦という作曲家が曲をつけた「富士山」という男声合唱組曲があります。この組曲は、全部で5つの曲から構成されますが、その5曲目つまり終曲が圧巻です。終曲の前半は、重たい雨雲に閉ざされた平野の様子をベースとバリトン(音域の低いパート)に暗く低い音域で歌わせるのですが、一瞬の「間」の後、曲調が一変して夕日に映える富士山の姿が今度はテノール(音域の高いパート)によって、実に美しく、ドラマティックに奏でられます。作曲した多田さんは、曲調が一変する直前に訪れる一瞬の「間」にこの組曲の全てを込めたと述べています。何度聞いても、一瞬、全ての音が消えるこの「間」に心が震えます。しかし、この「間」の感動は、終曲だけを聴いても得られません。感動は、第一曲目からじっくり聞いて、時間をかけて終曲のこの箇所にたどり着いたときにはじめてもたらされるのです。

  音楽に限らず、映画でも、テレビドラマでも同じです。どんなに感動するシーンでもそこに至る流れや背景がわからないと感動は伝わりません。そしてそれは、本を読んだり勉強したりする場合にも当てはまると思います。急いで答えや結果だけを求めるのではなく、最初から最後までじっくりと付き合ってこそ、本当の意味を理解することができるのではないでしょうか。

  便利な時代になり、早さや効率性が求められることが多くなりました。しかし、このような便利な時代だからこそ、めんどうくさがらずに、たまには腰を落ち着けて最初から最後まで、じっくりと聴いたり、見たり、調べたり、読んだりしてみて欲しいと思います。そうやって時間をかけて向き合うことではじめて自分のものになるのでなないかと思うのです。この冬休み、じっくり時間をかけて何かに取り組んでみてはどうでしょうか。

 それでは、事故のない、有意義な冬休みを過ごしてください。そして、最後にもう一つお願いしたいことがあります。

 皆さんそれぞれが立てる来年の目標の中に「どんなときも自分を大切にする、そして自分の周りの人を大切にする」ということを是非、加えていただきたいと思います。

 始業式にはまた元気な笑顔で会いましょう。終わります。


2学期始業式式辞

 いよいよ今日から2学期が始まります。
 まずは、この夏休み中、大きな事故もなく、皆さんとともに笑顔で新学期が迎えられることを大変うれしく思います。
 先ほど、何人かの人を表彰いたしましたが、夏休み中も多くの人が、いろいろな場面で活躍をしてくれました。インターハイで活躍してくれた相撲部の久保君と陸上競技部の松本さん、ビーチバレーボールの全国大会で見事にベスト8入りを果たした西尾さんと篠藤さん、愛媛県の高校生の代表の一人として次世代リーダー塾に参加した金子さん、現在、まだ現地で研修中ですが、酪農のニュージーランド研修に参加している友松さんなど、皆さんそれぞれが、充実した夏を過ごしてくれたのではないかと思います。また、家庭クラブの役員の皆さんは、台風というアクシデントにもかかわらず、県の研究発表大会を見事にやり遂げてくれました。
個人的な話になりますが、この夏休み、私の娘たちと久しぶりに映画館に行き、「ライオンキング」を観てきました。「ライオンキング」は、劇団四季のミュージカルで大変有名になりましたが、この映画は、その内容を完全CG化したもので、CGのリアルさに大いに感動いたしました。そういえば、9月に行く普通科の修学旅行では、劇団四季の観劇が入っていましたね。大いに楽しんできてください。
 さて、今日、皆さんにお話ししたいのは、実は映画の内容ではありません。家で映画のDVDを観るよりも映画館で映画を観る方が感動するのはなぜかということです。
昨今は、インターネットや関連機器の発達により、DVDにしてもテレビ番組にしても自分の好きなときに、好きな箇所を何度も繰り返して視聴できます。時間がなければ、録画しておいて、都合のいい時に見ればいい。有名予備校のカリスマ講師の授業も、自宅のパソコンで視聴できる時代になっています。
これに対して、映画館で映画を観るということは、料金を自分で払い、上映日や上映時間に自分の都合を合わせなければなりません。もちろん一時停止などありません。そうなると、家でDVDを観るのとは、観方(みかた)が違う。集中力が違います。映画館で観る映画が感動するのは、大きいスクリーンやいい音響で観るということもありますが、何よりも我々、観る側の姿勢にあるのではないかと思います。
 考えてみますと、日々の授業や実習も同じです。1時間1時間の授業や実習は、映画館の映画と同じで、たった一回きりです。二度と同じ授業を受けることはできません。
皆さんは毎日の授業にどのような気持ちで取り組んでいますか。
先生方もこの1回の授業のために、一生懸命準備をして、少しでも皆さんにプラスになるように真剣勝負で挑んでくれています。家庭学習ももちろん大切ですが、毎日の1時間1時間の授業や実習に、どれだけ集中して、真剣にのぞむかによって、全く違った結果が得られるはずです。
2学期には、体育祭や高校祭などたくさんの学校行事があります。これらの学校行事も映画館の映画と同じです。何度もやり直したり、一時停止したりできないリアルタイムでのドラマです。
 今日は、久しぶりに映画館に行って思ったことをお話しいたしました。2学期は、毎日の授業や実習、学校行事など一つ一つを大切に考え、集中して取り組むということを是非、実践して欲しいと思います。
さて、長い休み明けです。気持ちの上でも身体の面でもしんどい人もいるのではないかと思います。しんどいときは、決して一人で抱え込まないで、友だちや家族や先生に話してください。
 最後になりましたが、いつもお願いしている「気持ちのよいあいさつをしよう」「日本一あいさつのできる学校を目指そう」ということを改めてお願いして、式辞といたします。


1学期終業式式辞


 早いもので、今日で1学期が終了します。
 先日行われた高校野球の1回戦では、野球部の諸君は、素晴らしいバッティングと堅い守備で見事な戦いぶりを見せてくれました。そして、生徒の皆さんは、応援リーダーを中心に、全校生徒が一つになって、気持ちのよい応援を展開してくれました。野村高校全体の力が発揮された素晴らしい勝利であったと思います。本当にありがとう。まずは、全員で勝利を祝いたいと思います。次の試合も、全校の力を結集して、勝利を引き寄せましょう。
野球以外にも、1学期の間、皆さんは、勉強に実習に部活動に、いろいろな場面で活躍してくれました。皆さん一人一人がいっしょうけんめいがんばることが、野村高校全体に活気を与え、地域にも貢献できることだと思っています。
 さて、1学期の終業式に当たり、皆さんに私が大切にしている言葉を紹介したいと思います。
 それは、「虫の目、鳥の目」という言葉です。
 今月のはじめに、大阪にある「百舌鳥(もず)・古市古墳群」が世界文化遺産に登録されたというニュースを目にした人も多いと思います。特に百舌鳥古墳群の中の最大の古墳、仁徳天皇陵古墳は、教科書や資料集で写真を見たことがあると思います。
仁徳天皇陵が世界遺産に登録されたということで、大阪堺市の人たちは、大いに喜び、さっそくこれを観光につなげようと考えているようですが、実は大きな悩みがあります。それは、観光客が古墳を見ようと現地を訪れても、古墳があまりにも大きすぎて、全体像が全くわからない。古墳の全長は約500メートル、古墳全体の大きさは、甲子園球場12個分にもなるそうです。教科書の写真のような古墳全体を見ようと思えば、飛行機から眺めるか、鳥になるしかありません。
普段の生活の中でも、私たちは、小さな世界でしか物事を見ていないことがたくさんあります。まさに虫の目ですね。日々の生活の中で、悩んだり、行き詰まったりしていることも、実は全体から見れば、何でもない、たいしたことではないかも知れません。もちろん、虫の目で、小さな世界をしっかり見ることは大切なことですが、同時に、物事を全体から考えてみる、つまり鳥の目で見るという視点も大切なことではないかと思います。私もこれまで、気持ちの面でピンチに立たされたとき、鳥の目で見つめ直すことで乗り切ることができたことが何度もありました。
 皆さんも、毎日の生活を、虫の目だけでなく、鳥の目で眺めてみてはどうでしょうか。そして、もう一つ。今、世の中は、ものすごい勢いで変化しようとしています。生活様式も人々の価値観もどんどん変わっています。このような大変革の時代に必要なことは、虫の目、鳥の目に加えて、時代の流れを読む魚の目が大切になってくるのではないかと思います。
今日は、私の大切にしている言葉「虫の目、鳥の目、そして魚の目」ということについてお話をいたしました。小さな狭い世界だけではなく、大きな、広い世界からも自分を見つめ直してください。
 それでは、有意義な夏休みを送ってください。終わります。


進路の手引き巻頭言

 進路の世界が確実に変化している。
 授業から離れて久しいが、かつて日本史の受験指導をしていた頃、気は進まないまま、生徒に効率よく点数をアップさせることを目的に、歴代首相の名前と順番を覚えるために校歌の歌詞を歴代首相の名前に替えて生徒に歌わせたことがある。効果はてきめんで、それを覚えているだけで、何も考えなくても多くの問題に対応することができた。徹底的に断片的な知識を暗記させ、問題を解くテクニックを教えた。できるだけ多くの知識を持ち、それを使うテクニックがあれば、大学入試を突破できた。
 来年度から開始される大学入学共通テストのプレテストの問題を解いてみた。記述式が導入される国語では、町おこしをめぐる行政の方針とそれに対する住民の意見を考察させる問題が出題された。日本史では、日清戦争後の下関条約の内容が、イギリスの利益にどのようにつながったかを複数の資料から考えさせた。他の科目でも、資料や数式を読み取り、考える力が要求されている。これまでのような知識の量と解法のテクニックだけでは太刀打ちできない。
 AI時代の議論が盛んである。AI研究の第一人者の一人で国立情報学研究所の新井紀子教授は話題になった著書『AIvs教科書が読めない子どもたち』の中で、AIは膨大な量のデータを解析し、計算することはできるが、実は文章の意味は理解できないと指摘する。意味を理解して考えるという人間の営みは、AIには不可能だと言う。近い将来、AI時代が間違いなく到来する中で、私たち人間に要求されるのは、AIに真似できない力を身に付けることであろう。これからは、進学においても就職においても、意味を理解して自ら考える力が求められる。
 毎日の授業を振り返ってみよう。考えながら授業を受けているだろうか。黒板やプロジェクターで映し出された文字を機械的にノートに写す作業になっていないだろうか。考えることを面倒くさいと思わず、考えてみよう。授業においても、実習においても、日々の生活の中でも、自分なりの疑問や問いを見つけ考えることが新しい時代に生きる君たちにとって、今最も大切なことだと思う。
 近い将来、今ある仕事の多くがなくなるという。そして、逆にこれまでなかった新しい仕事が生み出されるという。激変する社会の中で、未来の像がなかなか見えない。だからこそ、非常におもしろい時代だと思う。新しい時代を逞しく生き抜くために、日々、考えるという作業を続けて欲しい。今こそ、吉野源三郎氏の「君たちはどう生きるか」ということが我々に突きつけられている。


1学期始業式式辞

 いよいよ新しい元号「令和」の制定とともに新たな年度がはじまりました。皆さんは、少しばかりの緊張感と大きな期待に胸を膨らませて、登校してきたのではないかと思います。先ほどの新任式で、新しく赴任いただいた先生方を紹介いたしましたが、学校も新しい体制で皆さんを迎える準備を整えてきました。このあと、ホームルーム担任等の発表もありますが、今年度も「チーム野村」としていいスタートを切りたいと思っています。
 さて、新年度のスタートに当たり、皆さんに「挑戦する」ということについてお話をしておきたいと思います。
 先月のイチローの引退は、世界中の大きなニュースとなりました。引退の会見の中で、イチローはこんなことを言っていました。
「成功すると思うからやってみたい、それができないと思うからやらないという判断 基準では後悔を生むだろうなと思います。やりたいならやってみればいい。できると 思うから挑戦するのではなくて、やりたいと思えは挑戦すればいい。そのときにどん な結果が出ようとも後悔はないと思うのです。」
 なかなか味のある言葉ではないかと思います。私たちは、勝手に自分で自分の限界を決めています。「どうせ無理」という言葉を聞くことがよくありますが、そこからは「挑戦する」という行為は生まれてこないと思います。部活動の試合においても「どうせ無理」というところからは絶対に勝利はありません。進路についても同じではないかと思います。本当はやってみたい仕事がある。本当は入りたい大学がある。しかし、自分で限界を作り、私には「どうせ無理」と考え、そんなに努力しないでも就ける仕事に就く。入れる学校に進学する。そんなパターンをよく見てきました。
 必死になって努力しても、希望はかなわないかも知れません。あまり努力しなかった場合と結果的に同じになるかも知れません。しかし、挑戦した人と挑戦しなかった人では、人間として、その後の人生に必ず大きな差が出てくるのではないかと思います。
 これから皆さんは、1年間のスタートを切るわけですが、勉強においても、部活動においても、「どうせ無理」という言葉を使わない1年にしてみてはどうでしょうか。
以上、1学期のスタートに当たり、「挑戦する」とういうことについてお話をいたしました。午後からは、新入生71名が入学してきます。新入生を加え、「チーム野村」として、お互いに相手のことを思い合う、温かい人間関係に支えられた学校をつくっていきたいと思います。
 そして最後にもう一つ、今年度も引き続き、日本一気持ちの良いあいさつのできる学校を目指そうということをお願いして式辞といたします。


入学式式辞

 復興への歩みを進める野村の町も美しい桜色に染まりました。
 春爛漫、光り輝く今日のよき日に、多数の御来賓の方々、並びに保護者の皆様の御臨席を賜り、かくも盛大に平成31年度入学式を挙行できますことは、まことに同慶のいたりに存じます。
 さて、ただ今、入学を許可いたしました71名の新入生の皆さん、入学おめでとう。
 皆さんの入学を在校生・教職員一同、心から祝福するとともに、皆さんを今日まで立派に育てられた保護者の皆様に、心からお慶びを申し上げます。
 皆さんがこれから学ぶ野村高校は、73年の歴史と伝統を誇り、約1万6千人を超える同窓生や地域の方々の熱い思いに支えられた素晴らしい学校です。
 新入生の皆さん、野村高校に入学したことに、大いに自信と誇りを持ってください。そして、これからの3年間で、本校の歴史に新たな1ページを刻んでくれることを期待します。
 人生にはいくつかの節目がありますが、高校入学は長い人生の中の最初の大きな節目ではないかと思います。今日はその節目の日。是非、この節目を大きなチャンスとして、新しい自分を発見してください。
 本校の校訓は、「美しく 新しく 逞しく」です。校歌にも1番に「美しく いざともに 光かざさん」、2番に「新しく いざさらに 磨き鍛えん」、3番には「逞しくいざ永久の ゆくてたたえん」と歌われています。
 「美しく」とは、心の美しさです。自分を大切にするとともに友だちを思いやる心。人の痛みがわかるやさしい心を持つ人は必ず「美しい」人です。ここにいる71名の皆さんと2年生、3年生を合わせた201名の生徒は、今日からかけがえのない仲間であり、一人一人が野村高校の宝です。互いに相手を思いやる心を磨き、学校全体で心の通い合う強い絆をつくってください。
 「新しく」とは、常に前向きに様々なことに挑戦する姿勢です。まず何かをやってみることです。やってみてうまくいくのが一番いいこと。しかし、次にいいことは一生懸命やってみて失敗すること。そして一番だめなことは、やろうとしないことです。やってみて失敗することはマイナスではありません。うまくいったことが100ポイントのプラスなら、失敗したことも100ポイントのプラスです。失敗した経験は必ず次に生きてきます。
 「逞しく」とは、急激に変化する社会の中で、自分を見失うことなく、心身ともに健全で明るく、堂々と生きることです。まもなく、平成から令和へ改元されますが、元号だけでなく、今、世の中は、人工知能やロボットの急激な進化によって大きく変わろうとしています。「society5.0」と呼ばれる大変革の中で、予測困難な時代が到来しようとしています。そのような社会を危惧する人も多くいますが、私は全ての人に大きなチャンスがもたらされる非常におもしろい時代ではないかと考えています。これからの3年間は、そのような新しい社会に逞しく生きるための大切な準備期間です。
 さあ、いよいよ今日から新しいスタートです。この3つの校訓を胸に刻み、それぞれの夢に向かって力強く歩んでください。
最後になりましたが、御来賓の方々、保護者の皆様、私たち教職員一同は、総力をあげて、生徒一人一人を見つめ、大いに鍛え、励まし、伸ばす教育を日々、実践してまいります。どうか本校の教育活動に対しまして、温かい御支援・御協力を賜りますようお願い申し上げますとともに、新入生71名の今後の努力精進を期待いたしまして、式辞といたします。


 2018年度

1学期始業式式辞

入学式式辞

進路の手引き巻頭言

1学期終業式式辞

2学期始業式式辞

2学期終業式式辞

3学期始業式式辞

農業クラブ機関誌「大地」巻頭言

卒業式式辞

3学期就業式式辞


 2017年度

ごあいさつ

入学式式辞

創立記念講話

進路の手引き巻頭言

1学期終業式式辞

2学期始業式式辞

2学期終業式式辞

3学期始業式式辞

卒業式式辞

3学期終業式式辞