遅くなってしまいました
昨年度1年生(現2年生)が美術の授業で制作した「首振り人形」の完成報告です。
普 通 科
畜
畜 産 科

人形のテーマは「今の自分」です
1年の1学期には 自画像を描きました
2学期は 自分を立体化した人形をつくります
最初に自分の頭蓋骨を作って、眼球をはめ込み 耳や鼻を付けて・・
大まかに粘土で肉付けした後に ヘラで成形していきます。
( 粘土を付け足した跡がなじみやすいので 黄色い袋の軽量紙粘土が使いやすいです )

基本的に鏡を観て作るのですが
平面の自画像と違って立体の場合 頭の形などは鏡ではわかりにくい。
それぞれのパソコンで 自分の頭を360°の方向で撮影したものも参考にします。
各自が端末を持っているので便利になりました


頭部が完成したら体の制作
裸の状態を作ってから 袖や裾、襟などを付け足して
「服を着ているように見える」ようにします。
相撲部くん達は「まわし」が唯一の衣装ですが
まわしの結び目や筋肉の表現 今回も気合いが入っています。



シューズのひもを付けると格段の完成度になります

頭部と体が完成したら 一応終了ですが
必要に応じて小物を制作します。
部活の道具や 家で飼っている動物などがあると
今の自分(生活)が表現しやすい
時には 自分以上に 小物の表現に気合いが入ることもあります。

粘土での制作が終わったらアクリル絵の具で着彩
最初に 肌の色を鏡で確認しながら調合して塗ります
皮膚の下には静脈もあるので紫・黄緑も少量加えると いい感じになります。
土台が水に溶ける紙粘土なので 水分の多い絵の具を ささっと塗るのがポイント
濃いめの絵の具の厚塗りはひび割れる
しつこく筆を動かすと粘土が溶ける
白目以外は「迷ったら 塗る」ことです。


肌の色の後は髪の毛の色
単純な黒ではないことを 鏡で確認して塗ります
万が一 絵の具が垂れても肌色につかない様に
頭を下にした状態で塗ることが重要です。
肌の色は5色を混色しているので 同じ色を作るのは ほぼ不可能
肌色の塗り直しはできません。


髪の色で眉毛、目も着彩
鏡で眉の形、角度 などよく確認してから描きます
ここでのポイントは「迷ったら 塗らずに考える(確認する)」です。



肌色の上に髪の色を薄く重ねると
生え際や刈りあげの部分が表現しやすい
この後 鬼門の「唇の色」をつけて頭部は完成です。

頭部が完成したら一段落
服や靴を着彩していきます





メーカーのロゴなども正確に入れると完成度が違います
タブレットで確認。


小物も仕上げていきます
ギターの弦をとめるピンはクリップを小さく切ったものを埋め込み
弦は極細の真鍮線 本当に音が出そう
脱帽の仕上がりです



家のねこや 自分の好きなもの
今の自分を取り巻くものも作ります。


箏曲部 緑一点の彼
ちゃんと糸を張って箏(こと)を仕上げています


体に頭をつけて完成
バネのどのくらいまで頭を差し込むのか
顔はどっち向きにするのか などでも印象が変わってきます。



土台に付いた絵の具も丁寧に取ります。
できあがったものを並べていくと
物語性が出てきて なんともいえない楽しさです

完成作品 普 通 科










めがねはプラ板でもいいのですが 弁当の透明な蓋がおすすめです
畜 産 科


ラケットは金網を切ったものを土台に作っています





休日も早朝から牛舎の手伝いをしている彼
牛への熱い思いがあふれています

今回の人形を作る目的を制作のいちばん最初に伝えています
・ ○年後の自分が 高校生の頃の自分を思い出すため
・ 将来家族ができたとき 伴侶や子供に高校生の自分を見てもらうため
・ 卒業して家を出た後 自分がいない家の 家族のため
頭蓋骨から作ったりと30時間近くかかるかなり面倒くさい制作でしたが
さすが根気強い野村の生徒諸君
一生懸命取り組んで 今回も力作を完成させてくれました
2年から芸術の履修がなくなる生徒にとっては 高校最後の作品になります。


芸術科(美術) 1年生首振り人形(完)