夏の夜長、「宿題」を楽しむ
2023年6月13日 12時57分4月から単身赴任、約20年ぶりの一人暮らし、今までいかに家族に依存してきたか痛感した。今後の人生を考えていく良い経験をさせてもらっている。
時々なぜ教員になったかを自答してみる。結局は人生の各場面で印象深い先生に出会ったから、という結論に至る。中学時代の技術の先生は、台湾の日本人学校から戻ってきたばかりの方で、授業もさることながら、台湾での暮らしぶり、趣味のヨットの話など、面白い話をいっぱい聞かせてくれた。その先生が「台湾では現地の方に尊敬され、銅像になった日本人がいる」という話をされていたのが印象に残った。その後、教員になってすぐの頃、忘れかけていたその先生のお名前を書店で見つけた。懐かしくなりその本を手に取ると、先生の授業での口ぶりが思い返された。
『台湾を愛した日本人~土木技師 八田與一の生涯~』(古川勝三)は「嘉南大圳の父」八田與一に関する本である。早速購入してみたのだが、昔から宿題は前の日まで放置するタイプだった。途中色々あって、恥ずかしい話だが読了するまでに年単位で時間がかかってしまった。そしてつい先日、書店で『台湾を愛した日本人Ⅲ』を見つけてしまった。台湾の農業を変えたという磯永吉と末永仁についての著作である。農業科(畜産科)のある学校に赴任している自分に対する、先生からの新しい「宿題」なのだろう。幸か不幸か、一人で過ごす夜は長い。秋の夜長ならぬ、夏の夜長はこの新しい宿題を楽しもうと考えている(ちなみに『台湾を愛した日本人Ⅱ』は現在坊っちゃん劇場で上演中の『KANO』の主人公・近藤兵太郎の話である。興味のある方はご一読を)。 教頭・一色