やっとこさー で

2022年10月4日 14時05分

1年生 美術の授業 「紙でつくる折りたたみ立体」 やっと終了しました。

1学期の後半から制作を開始して 夏休みを挟んでの制作でした。

  

たった一枚の紙に 時間をかけすぎかもしれませんが

今回の制作で 生徒の皆さんには 知って欲しいこと、できるようになって欲しいこと、感じてもらいたいことが山ほどありました。

 特に カッターの使い方は 理解して、できるようになって、自信をつけてもらいたい。

授業の前に 生徒の皆さんに聞いてみると カッターが苦手という子が多い。

生まれつき不器用なのではありません

まっすぐ切るためにはどうしたらよいか 知識と経験が少ないだけです。

今回の制作で ぜひ 自信を付けてもらいたい。

 

制作の最初、定規を使って 紙の両面に製図をします。

1㎝間隔の直線を用紙の全面に引いていきます。実はこれが意外と難しい。

〇㎝〇㎜の用紙の場合、定規の0の位置を左右で合わせていないと 斜めの平行線を引いてしまします。

印を付ける前に、用紙のどの辺を基準にするのか決めておかなくてはなりません。

うっかり間違えても 書き直せばよいのです ただ手間なだけです。

行動に移す(線を引く)前に、ちょっと考えてから行動すること の大事さを身をもって勉強できます。

用紙の表面は、着彩するための製図

裏面は どのような立体にするのか の製図をします。

あらかじめ立体のイメージを持って製図する子

出来上がりが予想できないような製図をする子 色々です。

前者は予定通りにつくった達成感、後者は予期しないものに出会える発見があります。

   

   

 

 

今回の制作では、1㎝間隔15本を 5色だけで塗ります。

メインになる色、その同系色2色、メインの色の補色1色、それらの中間の色2色のうちどれか1色 の合計5色です。

     

自由に色を塗るのではなく、一定の法則のなかで選択する。

多少不自由で縛りが多いかもしれません  が

この法則は ほとんどの名画にみられる法則なので、実際にやってみる価値はあると思っています。

そして 美しいものには 何らかの法則(比率)が潜んでいることを感じて欲しい。

 

それぞれの色を 隙間無く 直線でマットに塗りわけるのが目標です。そのために 

 ①定規とガラス棒を使った「溝引き」

 ② マスキングテープを使った着彩

 ふたつの技法を経験してもらいます。

「溝引き」は、とうとう新しい教科書から消えてしまいました。

「マスキングテープ」は 実生活でも非常に有用な技法なので掲載されています。

ですが というよりも だから 「溝引き」を経験してもらいたい。

なぜ「溝」のある定規があるのか

細いまっすぐな線はどうやったら引けるのか 

過去の人たちはどうやっていたのか を学んでもらう最後の砦だと思っています。

幸い 本校には 本物のガラス棒(中空ではない)があります

割れる心配のない 金属の溝引き棒もありますが

ガラスならではの なめらかな使い心地 重さ 冷たさなど を経験してもらいたい。

生徒のみんな 悪戦苦闘しながら挑戦してくれました。

数をこなすうちに、みなさんけっこう上達いたしました。

                   

  

  

 授業見学に来られたALTのコディ先生にも挑戦していただきました。

最初はぎこちなかったですが、さすが器用で 箸も上手く使えるコディ先生

あっという間にマスターして、細いまっすぐな線を何本も引かれていました 脱帽 。

  

溝引きで2色塗ったら 残り3色はマスキングテープを使います。

溝引きではみ出た線も これでまっすぐに修正できてしまいます。

テープを貼る位置、密着のさせ方、はがすタイミングと力加減、絵の具の堅さ(水分量)。

溝引きより簡単そうですが、これはこれで 意外と難しいもの。

最初は緊張しますが、そのうちコツをつかんで能率が上がります。

慣れてくると、テープの押さえが不十分で、絵の具がはみ出ることも。

常に緊張感と注意力が必要です。

  

  

  

  

 

 

表面の着彩が完了したら、いよいよ立体にする工程です。

カッターで切る前に 裏面のそれぞれの 折り目になる部分にあらかじめ折り目を付けます。

カッターマットをしいて 赤ボールペンで少し強めに線を引くことで、丁度よい折り目ができます。

深さの目安は爪が引っかかる程度、ボールペンは先端がボールになっているタイプを使います。

   

ここからが一番の難所、29本すべての線を カッターでまっすぐに切ります。

ここが上手くいかないと 今までの苦労が・・

定規をしっかり抑えて、よく切れるカッターで何回かに分けて切ります。

生徒諸君がいちばん苦手意識が強い工程です。

 

失敗するのにはいくつかのパターンがあります。

〇定規からカッターがずれる 〇定規そのものが動いてしまう 主にこの二つです。

それらの原因を理解し、そうならないようにすればよいだけです。

定規を当ててカッターでまっすぐに切るためには

・座らずに立って作業をする

・定規に体重をかけて絶対に動かないようにする

・カッターの刃の側面で定規を横から押すつもりで、角度を変えずに切る

・息を吸って、止めた状態で切る

・足を前後に開いて カッターの動きに頭の位置を連動させる(自然と上体が連動する)

・完全に切れるまで 定規を絶対に外さない  などです。

最初、カッターの「刃を出さない状態」で、切る「体の動き」を練習しておくとベストです。

みんな緊張しながらも真剣に切っていきます。

息を止めて切るので 切り終わった瞬間 あちこちから「はああっ」

ほとんどの生徒が、ミス1回程度ですべて切り終わりました。

  真剣な表情は 美しく 毎回感動します。

  

  

 

切り終わったら折り目を曲げていきます。

このときに ちゃんと切れているかも確認します。何カ所かは切れていない箇所が見つかるものです。

すべての折り目を 紙をそろえながらしっかり直角に折っていきます。

徐々に立体になっていき、完成が見えてきます。

  

  

  

もう少しで完成。 底になる部分に片方ずつボンドを塗って、台紙に接着します。

ボンドの付け忘れ、抑え不足がないか確認しながら組み立てます。

  

 

完成したら台紙に 制作記録、名札を貼り付けます。

思った以上によくできた。予想とは違う形になってしまった。など

感じるところはそれぞれのようですが やっと完成した安堵感、達成感を味わいます。

とにかく長い道のりでありました みなさんお疲れ様でした。

  

  

 

先日の放課後 ALTのコディ先生に あるクラスの作品を見てもらいました。

「 スゴーい 」と日本語で感動していただきました。

  

 

ちなみに この作品がコディ先生のお気に入りだそうです。

 悩んだ結果の My favorite は 相撲部のU君の作品でした。

  

 コディ先生の襟元にあるのは「のむ太郎缶バッジ」です

 

今年も1年生のみなさん よく頑張ってくれました。

いい作品たちができました。カッターの苦手意識が克服できたとしたらうれしいです。

そのうち全作品HPに載せたいと思います。

実物も校内に展示予定です。                                美術科