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新着情報

あまびえ総選挙 結果発表(1~10位)

2020年8月3日 16時10分

1学期の最後の週に、1~3年生の美術授業選択生(のべ70人)が制作した

全139体の「あまびえ総選挙」を本校図書室にて行いました。

7月30日(木)テレビ愛媛の夕方のニュースでも、野村高校あまびえ総選挙の様子が放送されました。

生徒を代表して美術部の生徒が取材を受けている様子です。

結構緊張してしまいましたが、コロナに負けない心意気が伝わったでしょうか。

ニュースをご覧になれなかった方に朗報です。

「テレビ愛媛 FNNプライムオンラインで過去の放送がご覧になれます。

7月30日の放送分です。   

 https://www.fnn.jp/articles/-/68601

 

あまびえ総選挙 結果発表

期間が短い中、校内の職員、生徒の皆さん44名に、自分の好きなあまびえを投票していただきました。 写真では大きさがわかりにくいですが、すべて親指くらいの大きさです。

 集計が終わりましたので トップ10を短い解説を付けて紹介します。

 

第1位   18票

  1年生女子 制作 

赤紫から青紫にかけての色相を、淡い調子で着彩。

ツインテールにした髪の先をカールさせるなど、造形も凝っています。

足元の台座の部分。赤紫系の微妙で柔らかい色調の上に、マットな白のストライプを入れて間から覗かせることで、白との対比で色調がより際だっています。

耳飾りも、微妙なピンクの上に銀色を薄塗りして、桃色の真珠のよう。

造形、彩色ともに非常に凝った作りの、春の妖精のようなあまびえです。

今回、基本的に一人が2体作っています。2つ作ることで表現のバリエーションが出ることを期待しましたが、ほとんどの生徒諸君が期待通り、1体目とはひと味違うものを作ってくれました。

この作者の2体目のあまびえがこちら

 

 緑を基調にした色彩で、足元にはひまわりの花、こちらは夏の妖精のようなあまびえです。

この作品も10位でした。

 

第2位  16票

  3年生女子 制作

うろこの部分、首元の黄色から足元の水色に続く色彩を、色相的には緑でつなげたいところですが微妙な無彩色に近い色でつなげているところに、作者の色のセンスを感じます。

台座の藤色の抑えた色調と、丁寧に描かれた「青海波」模様。

耳飾りの、暗めの真珠のような表現方法を今回最初に発見したのは彼女でした。

全体的に抑えた色調と色の選択にセンスを感じます。

 

 第3位  15票 

 3年生女子 制作

作者は1,2年生時は音楽を選択していた生徒。

3年になって美術を選択できる「絵画」の講座があり、彼女はその講座の生徒の一人。

実物を見てもらうと、特に髪型の表現に圧倒されます。

そうめん程の細さに延ばした石粉粘土を、何本も隙間なく丹念に貼り付け、

その分、着彩が複雑になるのですが、丁寧な仕上げに作者の集中力を感じます。

つぶらな瞳の中には星。いとおしくなるような可愛らしい作品。

おとなしそうでも芯がしっかりしていそうな、作者によく似たあまびえです。

 

 第4位  14票

 

 1年生女子 制作

この作品は、教師の参考作品の一つの再現に挑戦した、いわば本歌取りの作品。

ですが、髪の毛の先に向かって色を淡くしたり、胴体の青紫から赤紫に変化するグラデーションなど、より細かく、見事に本家を超えてくれました。

この作者の2体目の作品がこちら、 こちらも11位でした。

 

 ほぼ2頭身で、大きめの耳とクリッとした眼、毛先がカール。

体と紫と髪の黄色(微妙に毛先の色が違う)の対比も心地よい。

1体目と2体目で表現に変化があり、2体作った甲斐がありました。

芸事における「守・破・離」を感じさせます。

 

 第5位  12票 

 1年生男子 制作

作者は何と4体も作っており、これはその中の1体。

作者の制作コメントはただ一言「ぴえん」。

着彩は黄色一色、小気味いいほどの単純さで、あまびえと呼べるのか悩むところですが

コロナ禍の時代状況と、私たちの気持ちを表現するとしたら、この形がもっともふさわしいのかもしれません。尾崎放哉の自由律俳句を彷彿させる、変化球あまびえのひとつ。

ちなみに作者の他の作品がこれ

 どれも ただものでは ありません。

 

第6位  11票

  3年生女子 制作

2位になった作品と同じ作者です。薄紫の藤色がメインカラーで、

台座の抑えた青色が全体のイメージをまとめています。

2頭身で、垂れた前髪、カールした毛先など、女子ならではのこだわりが感じられます。

前作同様、色のトーンを完璧にコントロールした、色彩のセンスが光ります。

 

第6位  11票

 2年生男子 制作

こちらも「ぴえん」同様の変化球ではありますが、おそらく作者はふざけているのではないはずです。

奈良の大仏がなぜ作られたのか、聖武天皇が、疫病で苦しむ国を安らかにするため大仏を建立したことを思えば、作者も同じ御心でこのあまびえをお作りになったのでしょう。緑の上に薄く金を塗り、金銅色の大仏を彷彿させる、祈りのかたちになりました。

 

 第6位  11票

  1年団所属 女子?才 制作

実は作者は1年団所属の学習支援員のかたです。生徒と一緒に授業で制作してもらいました。ご本人は総選挙に出品されるのを固辞されましたが、無理を言って参加していただきました。体の鮮やかな黄色のグラデーションと、控えめな髪の色。目立たせる色と、それを引き立たせる抑えた色、それぞれの役割が的確なところに支援のプロを感じます。後ろの箱、英語の筆記体の流麗さに、まじめな中学生時代が想像されます。

 第7位  9票

 

 1年生男子 制作

あまびえが海から現れた、という伝説に注目した作品。まさに濡れた髪をたなびかせて現れたような、髪の毛のダイナミックな表現。くちばしの暗めの赤、髪の黒さと肌の白さ、物憂げなまなざし。この世のものならぬ妖しい雰囲気が出ています。作者のもう一体(1作目)がこちら、足元の波の表現を見たとき、唐招提寺の東山魁夷画伯の波濤の襖絵を思い出して驚嘆しました。

 

第7位  9票 

 2年生女子 制作

写真ではわかりづらいかもしれませんが、こちらもあまびえが海から出てきたところを表現。背中に珊瑚やらワカメやら真珠貝、ヒトデ・・海の中のカラフルなものをいっぱい背負い込んで人間界に現れたようです。造形、色彩ともにこだわりとあまびえの性格まで感じさせる楽しい作品。

 

 第7位  9票 

 2年生女子 制作

2頭身で丁寧な造形と着彩、色数は実は少ないのですが、それぞれの色彩の色味と調子が的確で、エッジの効いた着彩です。作者が制作中に「うちの子が一番かわいい」と嬉しそうに。この気持ちは、ものを作る人に一番大事にして欲しい気持ちです。

 

第7位  9票 

 3年生女子 制作

この生徒も3年生になって初めて美術「絵画」を選択した生徒です。

造形、着彩ともに非常に丁寧で、密度の高い作品に仕上がりました。

前髪の分け目など、実際作ってみたらわかりますが、かなり計画的に仕事をしないと上手くいきません。くちばしも派手にならない程度に微妙に色を抑えています。

 

 第7位  9票 

 3年生男子 制作

一見 あまびえなのかと思われるかもしれませんが、今回あまびえの条件としたのは、

足が三本、髪が長い、眼が四角、くちばしがある、体にうろこ、等々。

実はこの作品、これらの条件を満たしています。しかも頭に磁石を仕込んでいるので、体から切り離すことができます。かなり型破り(型無しではない)なあまびえです。

 

 第7位  9票 

 3年生男子 制作

 「絵を描くのは好きですが、ものを作るのは苦手です」という作者ですが、なかなかの出来で、着彩はさすがいろいろ色を使いながら上手にまとめています。後ろの箱のデザインも秀逸で、箱の周りの点線模様もSOSのモールス信号。博学な彼は、実はHPの「のむ太郎の学校さんぽ」の作者(編集君)であります。

 

 第8位  8票

 2年生女子 制作

髪の毛の造形が複雑で、後ろの髪を貝殻の飾りで束ねています。この生徒の講座は、週に1時間しかないので、制作時間が圧倒的に少ないのですが、限られた時間で集中して制作してくれました。後ろの箱のデザインに、絵の得意な作者のセンスが光っています。

 

第8位  8票

 

 3年生女子 制作

一見シンプルですが、この作品も髪の毛の表現が素晴らしく、そうめんみたいに細くした粘土で、流れるような髪型を表現しています。実際作ってみるとわかるのですが、一本一本の長さの調整は、仕上がりの髪型を意識していないと出来ません。丁寧な色彩も抑えめで上品に仕上がりました。

 

 第9位  7票

 

 1年生男子 制作

写真ではわかりにくいですが、貝殻のような帽子(着脱可能)をかぶっていて、後ろの長めの髪の先には、小さいあまびえ(この子も着脱可能)。なかなか遊び心あふれた作品です。

 

第9位  7票

 1年生女子 制作

体の青のグラデーションを、色相をずらさずに青でシンプルに明るくすることは、意外と勇気がないと出来ません。首元に濃いめの青を持ってきたことで顔の明るさが引き立ち、髪、台座の色も良く計算された、シンプルながらエッジの効いた配色です。

後ろの箱の、名前をモチーフにしたデザインも考え抜かれており秀逸です。

 

 第9位  7票

 1年生男子 制作  先に解説した作品です。

 

第9位  7票

 2年生女子 制作

かなり圧縮された2頭身ですが、腰から足先までの曲線を見ると、かなり綿密に、まるっこくなるよう計算して作られています。この下半身の作り方は、なかなか造形センスがないと作れない形です。

台座の部分も白黒にして、色数を極限まで少なくしても、このまとまり方、後ろの箱のデザイン、かなりのセンスの持ち主です。

 

第9位  7票

 3年生女子 制作

8位の作品と同じ作者、この作品も髪の毛の細かい造形が光ります。こちらは台座が赤色で、また違った雰囲気になりました。この赤色も色々混色して全体の雰囲気に合うよう工夫されています。

 

第9位  7票

 3年生男子 制作

野球部の作者、野球あまびえです。野村のNの帽子、バットにボール、台座はホームベース。

花形満のような髪型。高校生活を象徴するあまびえになりました。

 

第9位  7票

 3年生男子 制作

風に吹かれているような、動きのある髪型に作者のこだわりと努力を感じます。

獲物を狙う鷹のような精悍な顔つきのあまびえです。

 

第10位  6票

 1年生女子 制作 1位の作品の作者の2体目です。

 

第10位  6票 

 1年生女子 制作

9位の作品の作者の2体目、ちょっと首をかしげたポーズが可愛らしく、髪の毛、体ともに繊細で絶妙なグラデーション。台座の濃いめの青が効いています。

 

 第10位  6票

 1年生女子 制作

長い髪を絡ませながら前まで、髪型に特徴のある作品。その分着彩が大変だったろうと想像されますが、丁寧に色調を抑え気味に仕上げています。

 

第10位  6票

 1年生男子 制作

5位の「ぴえん」の作者の4体のうち1体。赤を基調にしたすらりとしたあまびえ。

世界観がありすぎます。

 

 第10位  6票 

 2年生男子 制作

頭の上の金色の3本の角の表現に、仏像表現につながるものを感じさせます。

あまびえが海上で光っていたという伝説を彷彿させます。背景の箱のマークはイニシャルの SR を上手くまとめています。

 

第10位  6票 

 2年生男子 制作

小気味いいほどふざけて見えるかもしれませんが、けっこう高評価を勝ち取りました。

台座の赤の上に金を薄く塗って、漆塗りの技法を彷彿させるなど和風テイストもあります。

赤も魔除けの効果があるそう。ちょんまげの水色がいい対比を見せています。

 

第10位  6票

 3年生女子 制作

2位、6位の作者の3体目、黒を使うのはなかなか勇気がいるのですが、この作品は全体を暗めの抑えたトーンでシックに仕上げています。耳飾りも黒真珠とは、徹底しています。

 

 第10位  6票  

 3年生男子 制作

とぼけた感じの表情と明るい色彩で、見る人を幸せにしてくれそうです。コロナ禍でふさぎ込んだ気持ちを和らげてくれそうなあまびえです。

 

第10位  6票 

 3年生男子 制作

野球部の作者、制作を始めた頃は、夏の地方大会が未定でした。高校生活を象徴する野球びえ。

この子は大きなボールに立って未来を見つめています。

 

第10位  6票 

 3年生女子 制作

この作品は、今回の作品の中で一番髪の毛の表現にこだわっている作品です。

細くした粘土をうねうねとさせながら、毛先まで編み込んでみたりして、作者が楽しみながら没頭しているのが伝わります。着彩も薄塗りを重ねて、透明感のある作品です。

 

 以下 今回のあまびえ総選挙にエントリーした全作品を紹介します。

 

 

 

 

 

いかがでしたでしょうか。誰も実物を見たことがない、

江戸時代の白黒の絵が唯一の手がかりのあまびえ。

そこからこれだけ想像と創造を膨らませた

野村高校の生徒諸君の発想の若さに驚嘆し、うらやましくなりました。

正解がいくつもある、もしくは正解そのものがないかもしれない

そんなあまびえ、それぞれの正解を模索しながら探して、自分なりの答えを見つける。

この行程は、先の見えない今の状況に似ているかもしれません。

改めて芸術表現が、問題の解決と似ていることを実感しました。

 なお作品のほとんどが、なぜか図書館に残っています

興味のある方はお早めに本校図書館まで。