クレアセント?

2025年2月4日 17時00分
一口日記

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昨年末に放映された

「探偵ナイトスクープ」をみて

Sのことを思い出した。

番組では嗅覚が特別優れている

少女のことが取り上げられていた。

彼女は目隠しされた状態で

前を通り過ぎた友達が誰なのかを

匂いだけで言い当てた。

また、

ペットボトルの麦茶の種類や

色紙の色まで匂いだけで

正確に答えた。

同番組に出演していた

匂いのプロでさえ

言葉を失い驚愕していた。

Sは大和田小学校で

2年生のときに担任した。

ある日、三角定規の

落とし物ががあった。

子どもたちからSに聞けば

持ち主がわかるとの

声が上がったので、

半信半疑でSに持ち主の

探索を頼んでみた。

Sはその匂いのみで

持ち主をみごと見つけ出した。

落とし主はそれが

自分のものであることさえ

気づいていなかった。

私は非常に驚いたが、

Sの超能力は子どもたちの中では

周知のことだったらしい。

Sによると、

衣服類なら全部わかる。

下敷きより大きなものなら

大体わかるとのことだった。

さっそく、落とし物係に

任命したことは言うまでも無い。

彼はその能力を

遺憾なく発揮した。

私が6年前、

牛舎の仕事を始めたとき、

Sは本校の3年生に在学中だった。

野球部に所属していたが、

その頃もまだ、優れた嗅覚が

残っていたかどうかは

今となっては

確かめるすべもない。

もし残っていたなら、

彼がそれを生かせる

職業に就けばいいなと思う。

子どもたちは、

ひとりひとり隠された

能力をもっている。

それに気づき、

有効に引き出して

やれるかどうかは教師の腕に

かかっている。

昔を振り返り、

反省する今日この頃である。

  搾乳作業員 仲木 弘幸