たぶん 世界一しあわせな かまぼこ板 でしょう
2024年12月6日 11時18分報告が遅くなりました
2年生が 昨年度末からつくっていた
「かまぼこ板のゴム銃」の制作の様子です
材料は家から持ってきたかまぼこ板3枚 と 学校で用意した2枚
( 定期的に学校に寄贈してくださる方がおられるのです 大感謝 )
5枚のかまぼこ板 と シナベニア2枚 ねじと輪ゴム
まずは かまぼこ板に 型紙をカーボン紙で写します
赤のボールペンを使うと 何所をなぞったか 分かりやすい
グリップになる部分を手引きの糸鋸で切ります
電動の糸鋸 は使ったことがあっても
手引きの糸鋸 を使ったことがない子が ほとんどです
電動の糸鋸より正確に切りにくい
板を押さえにくく 手を切る危険性が高い
ですが 「 自分の力で木を切る体験 」 は是非させたいので
手引きの糸鋸は 必ず使わせます
「木を切れるのだから 指の柔らかい皮膚なんか・・」
「細かい刃の一つ一つが ザクザクッと・・」
「絆創膏は用意してますけど それですんだらね・・・」
最初にさんざん おどかしておきますが
怪我をするのは 「鋸を持っていない方の手」 のはず
要は 鋸の「 刃の前に決して手を持ってこない 」ことです
クランプでテーブルにしっかり固定すればいい
うまく切るコツはほかにも
刃をまっすぐ下にリズミカルに下ろす
そのためには 低い姿勢の方が 刃が垂直になる
切ろうと意気込むと 刃が食い込み進まない ので
「 切ろうと思わず刃を動かす 」方が軽く切れる( 禅問答?)
曲線は板の向きを変えて 刃は常に一方向に
少し大きめに切れば 後で修正できるので 失敗は気にしない
かまぼこ板は 人力で切るのにちょうどよい堅さ
教材としては最高だと思っています
グリップを切ったら本体部分の部品の切り分け
ここからは正確さが大事なので 電動の糸鋸 を使います
正確に角を出すためには 切る順番が重要
角を落としていくように切っていきます
同じ形にする板は 2枚両面テープで重ねて
部品が揃ったら やすりやペーパーで修正しながら組み立て
やり直しの効かない 瞬間接着剤 を使うので
組み立て時の 順序と位置合わせが重要
引き金の部品がスライドすることで 輪ゴムを時間差で3つ発射する機構
スムーズに動くよう 部品の隙間や平行が大事
ふたの部分はメンテができるよう ねじ止め
皿ねじの頭が出ないように 三角に削ります(皿もみ)
ねじの頭が 板から出ないように 深さを調節中
面一(つらいち)が最高です
ドライバーは垂直に
回しすぎると穴が広がって ネジが効かなくなるので 加減が大事
本体ができたら全体の形を整えていきます
ここからは手の感触が大事
グリップは 「 自分の手がよろこぶカタチ 」を追求します
何度も握ってみて 気になるところを削ります
粗めの棒ヤスリから細かい棒ヤスリへ
自分の手が喜べばいいので 仕上げ(削り)に唯一解はありません
大まかな握りが好き
指が一本一本フィットするのが心地いい
それぞれが 自分の好きな感触を求めて成形していきます
棒ヤスリの後は サンドペーパーで仕上げ( 成形と磨き )
だんだん目が細かくなるよう磨きます
場所によっては 板や棒にペーパーを巻き付ける と効果的
はみ出た部分は 後で切り落とすこともできます
400番まで磨くと すべすべ になります
ほとんどの生徒が ワックス仕上げ をしました
木目が強調され 艶もよく 耐久性が出ます
布で擦り込めないところは筆も使って
仕上げに乾拭き
落ち着いた光沢 と しっとりした艶
かまぼこ板の質感を超えた高級感 が出てきました
かまぼこ板の目や削り方で いろんな模様が現れます
こちらは 本体は黒スプレー
グリップは オイルステン着色の後 天然のシェラックニス
引き金に付ける輪ゴムは 数年で劣化するので
交換できる様に ふたはネジ止め
ネジは 締めるためではなく 開けるために使うのです
完成したら 性能検査 をしなくては
ちゃんと時間差3連発であるか
輪ゴムはスムーズに発射できるのか
決して 射的遊び ではありません?
かなりの時間をかけて制作しました
食べ終わったら 普段は捨ててしまう かまぼこ板ですが
技術と熱意があれば 素晴らしい作品にすることができる
ということを実感してくれたと思います
時代に逆行しているような教材かもしれませんが
「 確かな手応え 」のある「 手でも考える 」制作をしてくれました
「かまぼこ板でつくるゴム銃」 完 芸術(美術)